世界文化遺産に登録された富士山をはじめとする、お茶の名産地としても知られ日本全国の茶園面積の約40％を占めており緑茶の出荷額と出荷量共に日本一を誇る静岡県。また同県は、過去に行われた47都道府県別生活意識調査で、比較的温暖な気候であることから“暮らしやすさ”で栄えあるNo.1に選ばれたこともあるんです。

しかしながら、2007年に静岡県の人口は約379万人をピークにその後は減少が進んでおり、このままでは人口減少のスピードが加速する可能性も高まっています。人口構造そのものが変化しつつあるため、人口減少だけではなく高齢化も急速に進行していくとされています。今後、いわゆる団塊の世代が75歳以上になる2025年以降も増加し続け、県民の約5人に1人が75歳以上になると予測されているのです。
さらに静岡県の医師数においては増加傾向にあるものの、人口10万人当たり医師数が全国平均を下回っており、“医師の絶対数を増やす必要がある”というのが同県の医療の現状となっています。

この記事では、静岡県で転職を考えている医師の方々に向けて、最新の医療の現状や全国および静岡県における医師の年収相場をご紹介します。施設形態別の医師の年収相場についても同時に解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

給与額によって生活水準なども変わってくるため、医師として働くことを検討している先生方は、医師の「年収相場」を知っておくこともとても大切です。
今の自分の年収に疑問や不満がある先生、またこれから転職でキャリアアップしたい先生や年収アップを狙う先生なども必見ですよ。

静岡県の医療の現状について

静岡県の人口(推計)は、総数3,559,529人で（男性1,754,796人/女性1,804,733人）となっています。世帯数は、1,512,302世帯となっています。（令和5年6月1日時点）

静岡県の医師数(総数)は8,271人、そのうち医療施設の従事者は7,972人と静岡の医師数は全国で第11位と上位にランクインする結果となっています。男女比でみると、静岡はそれぞれ「男性医師」は6,458人、「女性医師」が1,514人です。
しかしながら、静岡県の人口10万人対医師数(総数)は227.7人と、全国平均269.2人よりも大幅に低い水準となっているようです。(令和2年12月31日時点)

令和3年度の医療施設調査では、静岡県には170施設の病院(全国で14第位)、その中で一般病院が139施設、精神病院が31施設あります。そして2,750施設のクリニック(全国で第10位)が位置しており、クリニックは前年度と比べると35施設増加の結果となっています。
静岡の人口10万対の施設数は病院4.7施設でクリニックは76.2施設、全国平均（病院6.5施設/クリニック83.1施設）と比較するとどちらも下回る結果となっていることが分かります。
病床数に関しては病院が36,435床でクリニックが1,747床となっており、前年度と比べるとそれぞれ病院が201床減少、クリニックが27床減少です。人口10万対の病床数に関しても、病院が1009.8床でクリニックが48.4床と、どちらも全国平均(病院1195.2床/クリニック66.7床)を下回っています。前年度との比較はそれぞれ病院が1.4床増加、クリニックが0.4床減少です。

次は、二次保健医療圏について見ていきます。
静岡県における二次保健医療圏は、下記の市町村で構成される8つの医療圏となっています。
県内で最も医療施設の従事者数が多いエリアは、「西部保健医療圏」となっており2000人を超えています。この西部エリアは本県の8医療圏の中で最も人口が多く、唯一の医学部として浜松医科大学があります。次に医師数が多いエリアとして静岡保健医療圏、駿東田方保健医療圏と続いています。

一方で、賀茂保健医療圏は最も医療施設の従事者数が少ないエリア且つ本県の8医療圏の中で特に人口規模の小さいエリアです。その他に熱海伊東保健医療圏、富士保健医療圏などは医師数が足りていない地域となっています。

二次保健医療圏	構成市町名
賀茂保健医療圏	下田市、東伊豆町、河津町、南伊豆町、松崎町、西伊豆町
熱海伊東保健医療圏	熱海市、伊東市
駿東田方保健医療圏	沼津市、三島市、御殿場市、裾野市、伊豆市、伊豆の国市、函南町、清水町、長泉町、小山町
富士保健医療圏	富士宮市、富士市
静岡保健医療圏	静岡市（葵区、駿河区）
志太榛原保健医療圏	島田市、焼津市、藤枝市、牧之原市、吉田町、川根本町
中東遠保健医療圏	磐田市、掛川市、袋井市、御前崎市、菊川市、森町
西部保健医療圏	浜松市(天竜区)、浜松市(天竜区以外)、湖西市

静岡県における医師数は全体として年々増加傾向にあるものの、前述したように人口10万人対医師数(総数)は全国平均を大きく下回っていて、全国都道府県の中では第40位と低いレベルにあるのが現状となっています。
医育機関が浜松医科大学1校しかないため、県内での医師の定着や確保・偏在解消に向けた取り組みを強化するためにも、大学と県との連携が必要不可欠と言えるでしょう。

こういった厳しい状況から県内では、医師確保のためにさまざまな施策を実施しています。
例えば、近い将来に静岡県で医療を支える人材を育成すべく、県内の高校生をターゲットとして、実際の医療現場を見学する機会だったり、医学部の合格者また医療現場で働く医師と話す機会を提供するなどして、医学部への進学を志す高校生を増やす取り組みが進められています。

女性医師や高齢医師等への支援なども。浜松医科大学に設置された女性医師支援を推進する「ふじのくに女性医師支援センター」では女性医師の復職支援やキャリア形成支援の実施等、また65歳を過ぎても能力と意欲のある医師が働き続けられるよう医師の就労相談窓口を設置してシニア医師の活躍促進を図っています。

医師確保対策について、静岡県における詳しい現状と課題・具体的な取り組み内容、個別の診療科における医師確保計画や2次医療圏別の医師確保の方針等は下記をご確認ください。

※出典：静岡県医師確保計画/
https://www.pref.shizuoka.jp/kenkofukushi/iryo/chiikiiryo/1040767/1024101.html ）

※出典：静岡県保健医療計画/
https://www.pref.shizuoka.jp/kenkofukushi/iryo/iryoseisaku/1039973/1044654/1023819.html ）

※出典：令和３（2021）年医療施設（動態）調査・病院報告の概況/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/21/ ）

※出典：静岡県 令和２年医師数・歯科医師数・薬剤師数（市町・2次医療圏別）/
https://toukei.pref.shizuoka.jp/kenkou_seisakukan/data/r2sanshi.html ）

静岡県における医師の年収相場

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、全国の医師の平均年収（男女）は1,428.8万円です。（平均年齢45.6歳、勤続年数6.6年）
静岡県の医師平均年収（男女）が1,534.3万円（平均年齢42.4歳、勤続年数5.9年、月間労働165時間）のため、105万円ほど全国平均を上回っていますね。
静岡の中でも医療施設の従事者数が少ない、賀茂保健医療圏や熱海伊東保健医療圏などの地域では医師の年収相場が高めの傾向にあるそうです。

もちろん医療機関や法人、業務内容などによっても年収は違ってくるため、あくまでも参考程度でお考え下さい。
※上記の平均年収は、きまって支給する現金給与額×12＋年間賞与その他特別給与額で算出しています。

※出典：厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/ ）

【施設形態別】静岡県における医師の年収相場

静岡県における医療機関の中では、一般急性期病院の求人が最も多いようです。高額年収（1800万円以上）や年収2000万円以上の求人などが多数見受けられます。
ここでは、4つの施設形態別に全国平均および静岡県における医師の年収相場をご紹介します。年収相場については、医師キャリサイトに掲載されている求人情報をもとに算出しています。

クリニック

静岡県のクリニックから出ている求人には、駅チカで通勤便利/症例件数が充実/地域医療に貢献できるクリニック求人や、専門医の取得可能/未経験OK/1800万円以上の高額年収の提示が可能/働き方の相談可能な（週4から勤務・時短勤務OK、オンコール免除など）クリニック求人がいくつかあるようです。

他にも、勤務週4日以下/当直なし/病院併設の健診センターでの常勤医師求人（健診・人間ドックの業務メイン）や、高額年収（1800万円以上）/当直なし/コメディカル充実の常勤内科医師求人（職務内容：外来、透析管理）、転科OK・未経験可能/当直なし/年収2500万円以上可能な静岡県での訪問診療院長募集求人などがありました。

一般急性期病院

静岡県で一般急性期の常勤医師求人は、90件以上あります。

勤務週4日以下/当直なし/土日祝休み/高額年収（1800万円以上） が目指せる病院求人や診断・治療・看取りまで行う地域密着型の病院求人、シニア医師活躍中の病院求人などが目立ちます。
さらに、駅チカ・通勤便利/症例実績多数/専門医指定医取得（認定施設）可能/メディカルスタッフが揃っていて働きやすい環境が魅力の求人や、高額年収（1800万円以上）/週4日勤務も可能/救急対応無しの静岡県西部×病棟管理専従業務の医師求人など。

若手医師歓迎！年収2000万円以上も可能な静岡西部での透析管理募集求人、勤務日数・当直回数など応相談/年収2000万円以上も可能な静岡東部エリア×多数の募集科目（例：消化器内科・消化器外科・呼吸器内科・一般内科・整形外科など）の求人がありました。

上記ように静岡県の一般急性期求人の中には、年収2000万円を狙える求人も多数あります。

ケアミックス病院

静岡県でケアミックスの常勤医師求人は、30件以上あります。

駅チカ・通勤便利/症例件数充実/地域医療に携わることができる病院求人や高額年収（1800万円以上）/当直なし/シニア医師活躍の医療法人、年収2,000万円の好待遇求人などが多くあります。

中には静岡県ならではの求人も。温暖な気候と海と緑に囲まれた風光明媚な環境にあるのが魅力の病院求人や、富士山の遠望を楽しむことが出来る病院などもあるようです。
年収2,000万円以上の好待遇で個室医局や託児所などの働きやすい環境づくりが魅力の医療法人（募集科目：乳腺科）もありました。

精神科病院

静岡県における精神科病院の常勤医師求人には、勤務週4日以下OK/症例件数が充実/専門医指定医取得（認定施設）可能な精神科病院の求人や、週4日からOK/ゆったり勤務で地域医療に携わることができ且つ車通勤OKの病院求人などがあります。
さらには、後期研修医やこれから精神科を目指す医師、精神保健指定医を目指している医師、専門医を取得したい医師にオススメ！日本精神神経学会の研修施設に認定されているため指導医・指定医が取得しやすい好環境の病院求人などもありました。

中には、年収2000万円以上を狙えて勤続3年以上で退職金有りの病院求人（募集科目：内科系と精神科）や、駅からの車送迎あり！QOL（生活の質）重視やセカンドキャリアを静岡でゆったり暮らしたい先生必見の老健施設長募集求人（職務内容：病棟管理）なども見受けられました。

まとめ

ここまで、静岡県における最新の医療の現状や医師の年収相場などをご紹介してきました。
改めて静岡県の医師平均年収（男女）が1,534.3万円（平均年齢42.4歳、勤続年数5.9年、月間労働165時間）のため、105万円ほど全国平均を上回っています。

日本のほぼ中心に位置し太平洋に面する「静岡県」。山地では標高が高いほど雪が降る傾向にあるようですが、平地・海沿いでは年間を通して温暖な気候に恵まれていて冬の間もめったに雪が降らない地域です。さらに静岡は、東京や名古屋などの大都市圏にも新幹線で日帰りできる距離で、中心部を抜ければ海や美しい大自然などが最大の魅力でもあり“都心に近く、適度に田舎”として非常に暮らしやすい県といえるでしょう。
転職をお考えの医師の皆さん、ぜひ一度、静岡県で働くことを考えてみてはいかがでしょうか。

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